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好きと依存は紙一重
第1章 決意
「恥ずかしい話どすけど、宿の取り方分からんで困ってるんどす……。調べるにしても、スマホも充電がなくなってもうて……」
 そう言って連はがっくりと肩を落とした。そんな連を見て呆れ返った未亜は、ため息をつきたくなるのをこらえ、パーカーのポケットに手を入れた。指にコードが引っかかると、そのまま引っ張り出す。
(無いよりはマシかなぁ)
 残り僅かであろうモバイルバッテリーを、連に差し出した。

「これは?」
「モバイルバッテリー。充電口が合えば、少しは充電できると思うよ。ま、アタシが使ってたから、2,30%くらいしかできないかもだけど」
「へぇ、便利なものがあるんどすなぁ。ありがたく使わせていただく」
 連は物珍しそうに言うと、自分のスマホにコードを差し込む。どうやら同じ充電口だったらしく、安堵の表情を浮かべる。
 家出の計画性の無さと、ホテルの取り方すら知らない世間知らずが、未亜の好奇心を刺激する。質問を投げかけようとしたところで、料理が運ばれてきた。

 空腹のふたりはいただきますと手を合わせると、無言で料理を食べ進める。
(人間、空腹だと会話も忘れるね)
 詰め込むように食べる連を盗み見ると、彼に投げかける質問を整理しながら食事をした。無言の食事が終わると、未亜はメニュー表を開く。食後のデザートを頼むつもりだ。甘党の未亜にとっては、こちらがメインディッシュである。
 リーズナブルで高クオリティのファミレススイーツは、見ているだけでも幸せな気持ちになる。
「まだ食べる気どすか」
 いい気分でスイーツ選びをしているところを邪魔され、鋭い視線を投げかける。

「スイーツがメインなの。れ……お兄さんは食べないの?」
 いつもの癖でファーストネームを呼び捨てにしそうになったが、家出中の有名人の名前を口にするのは良くないと思い、咄嗟に言い直す。そんな未亜の心遣いに気づいたのか、連は口元に手をあてて小さく笑う。女性的で品のある所作に、未亜はまじまじと観察する。
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