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好きと依存は紙一重
第3章 暗雲
「ねぇ、連。ここで寝ないでよ。せめてベッド行こ?」
「ん……」
未亜が腕を揺すりながら言うと、連は渋々頷いて彼女を抱き上げる。ベッドまで未亜を運ぶと、すぐに彼女に抱きついた。その姿がまるで怪談でも聞いた子供のようで、可愛らしく見えてしまう。
「随分べったりさんだね」
「それだけ不安やったんどす」
拗ねたように言うと、未亜を抱きしめる腕に力を込める。
「姫さん、しばらくはうちんねきを離れへんどぉくれやす。あの男が捕まるまで、ビルにおってください」
「ねき?」
こういう時は黙って頷いていればいいものを、聞きなれない言葉に、つい聞き返してしまう。
「……そばにおってください」
少し気まずそうに言う連のおかげで、言葉の意味を理解する。それと同時に、どうしたものかと考える。連が恐れているように、またあの男が襲ってくるかもしれない。そう考えると連の言うとおり、ビルにいた方が安全だろう。きっとバイトの送り迎えだって、連は嫌な顔をせずにしてくれる。
それでも完全にひとりの時間がないというのは、精神的にキツいものがある。
「……うん、分かった」
考えた末に、一時的なストレスよりも身の安全を優先した。何よりも、これ以上連に迷惑をかけたくなかった。
「それ聞いてホッとしました。姫さんのことはうちが守るさかい、安心しとぉくれやす」
「うん、ありがとう。頼りにしてる」
そう言って笑いかけると、連も笑みを返してくれる。ふたりはシャワーを浴びて少し早めの夕飯を食べると、ラブホテルを後にした。
ふたりで雑居ビルに帰ると、不審な人影が1階のドアの前に立っている。ガシャガシャと音を立て、ドアを壊そうとしている。
「姫さん、危ないさかい、うちから離れへんどぉくれやす」
連は未亜に耳打ちをすると、彼女を後ろに隠すようにして男にそっと近づく。男はドアをこじ開けるのに必死で、ふたりが近づいていることに気づいていない。
「ん……」
未亜が腕を揺すりながら言うと、連は渋々頷いて彼女を抱き上げる。ベッドまで未亜を運ぶと、すぐに彼女に抱きついた。その姿がまるで怪談でも聞いた子供のようで、可愛らしく見えてしまう。
「随分べったりさんだね」
「それだけ不安やったんどす」
拗ねたように言うと、未亜を抱きしめる腕に力を込める。
「姫さん、しばらくはうちんねきを離れへんどぉくれやす。あの男が捕まるまで、ビルにおってください」
「ねき?」
こういう時は黙って頷いていればいいものを、聞きなれない言葉に、つい聞き返してしまう。
「……そばにおってください」
少し気まずそうに言う連のおかげで、言葉の意味を理解する。それと同時に、どうしたものかと考える。連が恐れているように、またあの男が襲ってくるかもしれない。そう考えると連の言うとおり、ビルにいた方が安全だろう。きっとバイトの送り迎えだって、連は嫌な顔をせずにしてくれる。
それでも完全にひとりの時間がないというのは、精神的にキツいものがある。
「……うん、分かった」
考えた末に、一時的なストレスよりも身の安全を優先した。何よりも、これ以上連に迷惑をかけたくなかった。
「それ聞いてホッとしました。姫さんのことはうちが守るさかい、安心しとぉくれやす」
「うん、ありがとう。頼りにしてる」
そう言って笑いかけると、連も笑みを返してくれる。ふたりはシャワーを浴びて少し早めの夕飯を食べると、ラブホテルを後にした。
ふたりで雑居ビルに帰ると、不審な人影が1階のドアの前に立っている。ガシャガシャと音を立て、ドアを壊そうとしている。
「姫さん、危ないさかい、うちから離れへんどぉくれやす」
連は未亜に耳打ちをすると、彼女を後ろに隠すようにして男にそっと近づく。男はドアをこじ開けるのに必死で、ふたりが近づいていることに気づいていない。