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好きと依存は紙一重
第3章 暗雲
「大変な目にあったわね……。とにかく座って」
 真理亜はふたりの頭を撫でながら、優しく声をかけてくれる。カウンター席に座ると、マシュマロを浮かべたココアが出された。
「とりあえずこれでも飲んどけ。営業時間外だから金は取らねーよ」
「うん、ありがと……」
 いつものように冗談めかして言ってくれる日向の優しさに感謝しながら、ひと口飲む。優しい甘さに張り詰めていた気が緩み、涙がポタポタと零れ落ちてくる。日向は背中を向けて珈琲を飲み、真理亜は黙々とパフェの盛り付けをしている。隣に座っている凛子は、黙って寄り添ってくれた。
 人に恵まれていると思いながら、静かに泣き続けた。

 真理亜がふたりの前にパフェを置くと、遠くからサイレンが聞こえてきた。現実に引き戻され、涙を拭う。
「連、大丈夫かな?」
「私ら来た時に取り押さえてたし、きっと大丈夫だよ。それに、心太もいるし」
 凛子は明るい声音で言うも、どこかぎこちない。気を遣わせてるなと内心苦笑する。
「アイツ、放火するつもりだったんだよ。足元に赤いポリタンクあった……」
 未亜の言葉に、3人は顔を見合わせる。

「アタシが……」
 前触れもなしにドアが開き、未亜の言葉は遮られた。振り返ってそちらを見ると、仏頂面の心太がずかずかと入ってきた。
「心太、連……団長殿は?」
「団長なら今、警察と話してますよ。自分が話しておくからこっちにいろって言われました」
「そう……」
「大丈夫ですかね? あの男……」
「え?」
 眉間にシワを寄せながら、チラリと外を見る心太に、一同は素っ頓狂な声を出す。

「おいおい、詳しいことは知らないけど、jesterの練習場放火しようとした奴だろ? なんでそんな奴心配すんだよ」
「そうだよ! あんな奴の心配なんてする必要ないない!」
 日向は呆れ返ったように、凛子は咎めるように言う。
「まぁ、そうなんですけど……。先生と凛子がここに入った瞬間、団長が更に力込めてたし、すごい音したんで。たぶんあれ、痛みで失神しましたよ。骨折とかしてるんじゃないですかね?」
 心太の報告に、誰もが黙り込む。
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