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好きと依存は紙一重
第3章 暗雲
「お代は……」
「今日はサービスだ」
連が思い出したように言うと、日向は穏やかな笑みを浮かべる。
「おおきに」
連は軽く会釈をすると、3人を連れてフロイデを後にした。
非常灯で薄く照らされたビル前は、少し不気味だ。連はポケットから鍵束を出して1階ドアの鍵を開ける。中に入って電気をつけると、凛子は壁際に駆け寄った。
「あったあった!」
凛子はフリルのついたピンク色のトートバッグを大事そうに抱えて戻ってきた。凛子にしては乙女チックなバッグだ。
「マリリンに作ってもらった大事なバッグなんだぁ」
未亜の目線に気づいたのか、凛子は彼女の目線の高さに合わせてトートバッグを掲げる。
「大事なら忘れんなよ」
「だって、今日稽古のあとにバイトあったから荷物いっぱいだったんだもん」
ため息まじりに言う心太に、凛子は頬を膨らませる。その光景が微笑ましくて、小さく笑う。
「ふたり共、今日はおおきにどした。これで美味しいものを食べてきとぉくれやす」
いつの間にか用意したのか、連はふたりに和紙でできたポチ袋を渡す。凛子には白地に朝顔柄、心太には紺地に星柄のポチ袋だ。戸惑いを見せる心太に対し、凛子は光の速さで受け取り、目を輝かせる。
「わぁ、ありがとう団長! 太っ腹!」
「凛子! お前なぁ、もう少し遠慮とかしろよ」
あまりにも素直な凛子に、心太は慌てて彼女を咎める。兄妹のようで微笑ましい。
「ふふっ、ええんどすえ。ほら、心太はんも」
「あ、ありがとうございます」
連がずいっとポチ袋を近づけると、心太はおずおずと受け取った。
「気ぃつけて帰るんどすえ」
「ふたり共、今日はありがと。またね」
連がドアを開け、未亜が小さく手を振ると、凛子は大きく手を振って元気に出ていき、心太は一礼してから出ていった。連がドアを閉めると、気が抜けてその場に座り込む。
「今日はサービスだ」
連が思い出したように言うと、日向は穏やかな笑みを浮かべる。
「おおきに」
連は軽く会釈をすると、3人を連れてフロイデを後にした。
非常灯で薄く照らされたビル前は、少し不気味だ。連はポケットから鍵束を出して1階ドアの鍵を開ける。中に入って電気をつけると、凛子は壁際に駆け寄った。
「あったあった!」
凛子はフリルのついたピンク色のトートバッグを大事そうに抱えて戻ってきた。凛子にしては乙女チックなバッグだ。
「マリリンに作ってもらった大事なバッグなんだぁ」
未亜の目線に気づいたのか、凛子は彼女の目線の高さに合わせてトートバッグを掲げる。
「大事なら忘れんなよ」
「だって、今日稽古のあとにバイトあったから荷物いっぱいだったんだもん」
ため息まじりに言う心太に、凛子は頬を膨らませる。その光景が微笑ましくて、小さく笑う。
「ふたり共、今日はおおきにどした。これで美味しいものを食べてきとぉくれやす」
いつの間にか用意したのか、連はふたりに和紙でできたポチ袋を渡す。凛子には白地に朝顔柄、心太には紺地に星柄のポチ袋だ。戸惑いを見せる心太に対し、凛子は光の速さで受け取り、目を輝かせる。
「わぁ、ありがとう団長! 太っ腹!」
「凛子! お前なぁ、もう少し遠慮とかしろよ」
あまりにも素直な凛子に、心太は慌てて彼女を咎める。兄妹のようで微笑ましい。
「ふふっ、ええんどすえ。ほら、心太はんも」
「あ、ありがとうございます」
連がずいっとポチ袋を近づけると、心太はおずおずと受け取った。
「気ぃつけて帰るんどすえ」
「ふたり共、今日はありがと。またね」
連がドアを開け、未亜が小さく手を振ると、凛子は大きく手を振って元気に出ていき、心太は一礼してから出ていった。連がドアを閉めると、気が抜けてその場に座り込む。