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好きと依存は紙一重
第3章 暗雲
「おはよ、未亜ちゃん。今日は俺の方がはやいね」
「え、なんで森さんがいるの? 今日は鈴木さんが一緒なはず……」
未亜は目をぱちくりさせながら、翔をまじまじと見る。午前中に働く時は、シングルマザーの鈴木花恵か、フリーターの三島祐介のどちらかと働くことが多い。そもそも翔が午前中に出勤してくること自体、今までなかった。
「子供が熱出しちゃったんだって。まだ小学3年生の女の子が、家でひとりとか心配じゃん? だから代わったんだ」
「へぇ、意外と優しいね」
「ま、うちも母子家庭だったからさ。大変さはなんとなく分かるっていうか」
育てられる側だけど、と笑い、バックヤードを出る。翔の意外な優しさや半生に驚きながらエプロンに着替え、店に出る。
開店前の本屋は静かなもので、和仁の趣味で流しているジャズと、ほうきを動かす音だけが聞こえる。適温も手伝って、つい寝てしまいそうだ。
「そういえばさ、あの本読んだの?」
ゴミを集めていると、ちりとりを持った翔が興味津々といった様子で聞いてくる。
「読んだけどアタシには合わなかった」
「へぇ、そっか。エロ描写がイマイチだったとか?」
未亜はひやっとして動きを止める。いくら和仁がバックヤードでパソコン業務をしているとはいえ、職場でストレートにそういうことを言うのはいただけない。
「そういうの全く無かった。というか、誰もいないからって職場でそんなこと言わないの。てか、軽くセクハラじゃん」
「はいはい、ごめんね」
翔は悪びれる様子もなく言うと、ポケットから飴玉を取り出して未亜に差し出した。大人しく受け取ると、掃除を再開した。
今日の仕事は9時から13時まで。いつもはあっという間に感じるが、昨晩のことが気がかりで、連から連絡がないかとやきもきしていたせいでいつもの倍以上かかったように思えた。
ようやく仕事が終わってスマホを見てみると、連から店内にいるとラインが来ていた。
「え、なんで森さんがいるの? 今日は鈴木さんが一緒なはず……」
未亜は目をぱちくりさせながら、翔をまじまじと見る。午前中に働く時は、シングルマザーの鈴木花恵か、フリーターの三島祐介のどちらかと働くことが多い。そもそも翔が午前中に出勤してくること自体、今までなかった。
「子供が熱出しちゃったんだって。まだ小学3年生の女の子が、家でひとりとか心配じゃん? だから代わったんだ」
「へぇ、意外と優しいね」
「ま、うちも母子家庭だったからさ。大変さはなんとなく分かるっていうか」
育てられる側だけど、と笑い、バックヤードを出る。翔の意外な優しさや半生に驚きながらエプロンに着替え、店に出る。
開店前の本屋は静かなもので、和仁の趣味で流しているジャズと、ほうきを動かす音だけが聞こえる。適温も手伝って、つい寝てしまいそうだ。
「そういえばさ、あの本読んだの?」
ゴミを集めていると、ちりとりを持った翔が興味津々といった様子で聞いてくる。
「読んだけどアタシには合わなかった」
「へぇ、そっか。エロ描写がイマイチだったとか?」
未亜はひやっとして動きを止める。いくら和仁がバックヤードでパソコン業務をしているとはいえ、職場でストレートにそういうことを言うのはいただけない。
「そういうの全く無かった。というか、誰もいないからって職場でそんなこと言わないの。てか、軽くセクハラじゃん」
「はいはい、ごめんね」
翔は悪びれる様子もなく言うと、ポケットから飴玉を取り出して未亜に差し出した。大人しく受け取ると、掃除を再開した。
今日の仕事は9時から13時まで。いつもはあっという間に感じるが、昨晩のことが気がかりで、連から連絡がないかとやきもきしていたせいでいつもの倍以上かかったように思えた。
ようやく仕事が終わってスマホを見てみると、連から店内にいるとラインが来ていた。