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好きと依存は紙一重
第3章 暗雲
「なんかあったのかな?」
未亜の胸に不安がよぎる。よっぽどのことがない限り、連は未亜のバイト先に来ることはない。あの男は未亜を隠し撮りしていたと言っていた。その写真が警察の手に渡ったら、連の目前に晒されていたらと、悪い方へ考えてしまう。
「大丈夫、考え過ぎだって」
自分に言い聞かせて息を吐くと、売り場に出た。小説の新刊コーナーを眺めている連を、すぐに見つける。連に駆け寄ると、向こう側にいる翔と目が合い、彼はニヤリと笑った。
「連、おまたせ」
「姫さん、お疲れやす。甘いものでも食べに行くのん?」
未亜の心配をよそに、連はいつもののんびりした口調で言う。
「それもいいけど、大丈夫だったの?」
未亜が小声で聞くと、連は彼女の耳元に口を寄せる。
「詳しいことは、落ち着けるところで話まひょ。少なくとも、悪い方向にはいってまへんさかい、安心しとぉくれやす」
連の報告に安堵し、ようやく笑みを浮かべる未亜。余裕が出来たおかげて、近場の行ってみたいカフェリストが脳内に浮かび上がる。
「そっか、よかった。行ってみたいカフェあるから、そこでいい?」
「構わへんよ。ほな、行きまひょか」
本屋から出る際、ニヤケ顔の翔と再び目が合った。”彼氏?”と口を動かしているように見えたので、”ばーか”を口を動かして本屋を後にした。
「それで、姫さんが行きたいとこってどこにあるんどす?」
「ここから歩いて2,3分くらいのとこだよ。こっち」
未亜は通勤ルートでよく見かけるカフェを目指して歩く。本屋のすぐそばにある横断歩道を渡って4軒目のところに、その店はあった。屋根は灰色に、外壁はモスグリーンに塗られた木造建築で、”森の音”と書かれた木製の看板が立てかけられている。
常連の女子高生達の話が本当なら、パンケーキが売りのカフェだ。さっそく中に入ると、ゆったりとしたヴァイオリンの音色に鳥のさえずり、木々が風に揺らぐ音が聞こえてきた。店名にぴったりなBGMに心が弾む。
未亜の胸に不安がよぎる。よっぽどのことがない限り、連は未亜のバイト先に来ることはない。あの男は未亜を隠し撮りしていたと言っていた。その写真が警察の手に渡ったら、連の目前に晒されていたらと、悪い方へ考えてしまう。
「大丈夫、考え過ぎだって」
自分に言い聞かせて息を吐くと、売り場に出た。小説の新刊コーナーを眺めている連を、すぐに見つける。連に駆け寄ると、向こう側にいる翔と目が合い、彼はニヤリと笑った。
「連、おまたせ」
「姫さん、お疲れやす。甘いものでも食べに行くのん?」
未亜の心配をよそに、連はいつもののんびりした口調で言う。
「それもいいけど、大丈夫だったの?」
未亜が小声で聞くと、連は彼女の耳元に口を寄せる。
「詳しいことは、落ち着けるところで話まひょ。少なくとも、悪い方向にはいってまへんさかい、安心しとぉくれやす」
連の報告に安堵し、ようやく笑みを浮かべる未亜。余裕が出来たおかげて、近場の行ってみたいカフェリストが脳内に浮かび上がる。
「そっか、よかった。行ってみたいカフェあるから、そこでいい?」
「構わへんよ。ほな、行きまひょか」
本屋から出る際、ニヤケ顔の翔と再び目が合った。”彼氏?”と口を動かしているように見えたので、”ばーか”を口を動かして本屋を後にした。
「それで、姫さんが行きたいとこってどこにあるんどす?」
「ここから歩いて2,3分くらいのとこだよ。こっち」
未亜は通勤ルートでよく見かけるカフェを目指して歩く。本屋のすぐそばにある横断歩道を渡って4軒目のところに、その店はあった。屋根は灰色に、外壁はモスグリーンに塗られた木造建築で、”森の音”と書かれた木製の看板が立てかけられている。
常連の女子高生達の話が本当なら、パンケーキが売りのカフェだ。さっそく中に入ると、ゆったりとしたヴァイオリンの音色に鳥のさえずり、木々が風に揺らぐ音が聞こえてきた。店名にぴったりなBGMに心が弾む。