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好きと依存は紙一重
第1章 決意
「連で構いまへん。この名前自体は、珍しないやろうさかい」
「じゃあ、連。あなたはスイーツ食べないの?」
 そう言って未亜は、スイーツのページを開いたメニュー表を連の前に置く。色とりどりのスイーツに目を輝かせるかと思いきや、困り顔でメニュー表を見つめるばかりだ。

「どうしたの?」
「こういったものは食べたことあらへんさかい、よう分かりまへん」
 あまりにも衝撃的な言葉に、未亜の思考が停止する。世間知らずの箱入り息子ならある程度甘やかされて育ち、高級レストランで美味しいご飯もスイーツもたらふく食べてきたのだろうという偏見があった。

「今まで甘いもの、食べたことないの?」
「黒豆と厚焼き玉子くらいどすなぁ」
「チョコとかアイスとか、最中とか八ツ橋は?」
「甘いものを食べると甘ったれた性格になると、食べさせてもらえまへんどした」
 あまりにも厳しい連の食生活に、開いた口が塞がらない。甘いものが食べられないなんて、未亜なら泣きだしてしまう。それとも、最初から味を知らなければ、ほしいと思わないものなのだろうか?

「じゃあ、今日はスイーツデビューしよ。とっておきの頼んであげるから」
 連の返事も聞かずに店員を呼ぶと、チョコパフェをふたつ注文した。チョコパフェは5分もしないうちに運ばれてきた。目の前にチョコパフェが置かれると、連はホイップクリームに刺さったポッキーを凝視する。
「これは……、どっからどう食べたら……」
「どこからでも好きなように食べたらいいんだよ」
 未亜は2本のポッキーを抜くと、箸のように持ってホイップクリームを挟んで頬張った。なめらかなホイップクリームの中に、さくさくのポッキーの食感が楽しい。どうやらビターチョコらしく、ホイップクリームの甘さがおさえられて食べやすい。
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