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好きと依存は紙一重
第4章 一難去ってまた一難
 笑顔で見送るも、ドアの閉まる音がやけに大きく響き、心にぽっかり穴が開く。未亜は改めて、他人に依存してしまう自分が嫌になった。
 連は自分を好きでいてくれているのに、何故彼を愛せないのだろう? 愛せないくせに、何故こんなにも寂しいのだろう? いつの間にか自問自答していることに気づき、声を出して笑う。

「思春期かっての」
 寝室に入って本棚を見上げ、1冊の本を手に取る。”愛の蜜に溺れて”。本棚に寄りかかり、流し読みをする。ほんの数ページ読むつもりが、気づけばベッドに寝転んで読みふけっていた。
 初めて読んだ時はイライラしてしまったが、今では愛に怯える主人公の気持ちに共感できなくもない。結局読破してしまい、読破後独特の達成感に大きく息を吐く。

 なんとなく時計を見ると、午前2時を過ぎていた。
「何やってんだか……」
 苦笑しながら本を本棚に戻すと、小腹が空いていることに気づく。思い返せばお菓子を連とわけて食べただけで、まともなご飯は食べていない。
「この時間食べたら太るし、かといって、シカトできるほど可愛い空腹でもないしなぁ……」
 お腹をさすりながら、唸り声を上げる。

「あ、そういえば……」
 数日前にゼリーを買ったのを思い出し、台所に行って冷蔵庫を開ける。ナタデココ入りのいちごゼリーが、隅っこにひっそりと佇んでいる。ゼリーを取り出してテーブルに置くと、紅茶を淹れた。本当はカフェインレスティーなどがあればよかったが、そんな繊細なものに、未亜が手を伸ばすことはない。
 ある程度色が出てくると紅茶をひと口飲み、一息つく。

 ゼリーを食べながら、以前まとめサイトで夜食は温かいもののほうが太らないと書いてあったのを思い出し、夜食用に春雨スープでも買おうかと考える。だが徹夜は効率が悪くなる上に肌が荒れるからと考え直す。
 連に会う前は寝る時間も惜しんで執筆をしていたものだが、彼に雇われてからは徹夜をしないようにしている。規則正しい生活が心身の健康に繋がり、執筆活動も捗ると知っているからだ。
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