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好きと依存は紙一重
第4章 一難去ってまた一難
「アンタさ、連の父親の付き人の娘だっけ? ものすごく微妙なポジションだけど、連の何を知ってるわけ?」
「連様はとても優しくて、日舞にすべてをかけて……きゃっ!」
 静かな路地裏に、花梨の頬を叩く音がやけに大きく響いた。自分が叩かれたと理解できていないのか、花梨は赤くなった頬を押さえ、呆然とする。

「連が日舞にすべてをかけてるって分かってたんならさ、アンタにできることあったんじゃないの? 連のために何かした? 言葉をかけてあげた? 連の気持ち、考えたことあるの? どれだけ必死に頑張って、地位と名誉を築き上げても褒められないって、どれだけ虚しいか考えたことある?」
「それ、は……」
 先程までの威勢を失った花梨は、呆然としながらその場にへたり込む。それでもまだ、未亜の怒りは収まらない。

「そういう、あなたこそ……。連様のお気持ちを察することができるというのですか?」
 花梨はうつむき、震える声で未亜に問う。未亜は大きく息を吐いて落ち着きを取り戻すと、花梨と目が合うようにしゃがみ込む。
「分かるっていうか、分からなくもないって感じかな。アタシ、昔から小説家目指しててさ、よくコンテストとかに送ってた。クラスメイトとか先生はさ、アタシの小説読んで面白いって言ってくれて、現段階でこれだけ面白いって言ってくれる人がいるなら、立派な作家になれると思ってた」
「あなたには、認めてくれる人がいるではないですか」
 花梨の言い方が拗ねた子供のようで、思わず笑ってしまう。こうして見ると、可愛らしく見えてくるから不思議だ。

「ま、話は最後まで聞きなよ。17歳の夏、大手出版社から封筒が届いた。コンテストに出した作品を自費出版しないかって。自費出版っていっても、全額負担じゃなくて、150万円。普通に自費出版すれば、1000万くらいするんだって」
「はぁ……」
 花梨はわけが分からないとでも言いたげな顔で生返事をする。
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