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第36章 同棲気分

太田はソファーに座り直し、テレビのスイッチを入れニュースをなんとなく眺めていた。
ニュースではネットでの闇バイトについての特集が流れていた。

「へー、本当にこんなのやってる奴いるんだな」

太田は目に入ったニュースに独り言を呟く。
少し気になりそれを見ていたが、そのうち飽きてしまい、テレビを消して携帯をいじり暇を潰す。

しばらくして台所からいい匂いが漂ってきた。
そしてパタパタと足音が聞こえ、広美が手に皿を持って部屋に戻ってきた。

「おまたせしました」
「じゃーん、私の得意なオムライスです」
「あと、ほうれん草とベーコンのバター炒めです」
「どうぞ」

太田は広美のテンションに戸惑ったが、腹が減っていたので、とりあえずソファーから机に移動して食べる事にした。

太田は広美の正面に座り、スプーンを持ちオムライスをすくった。
口に入れようとしたが、視線を感じ広美を見ると、ジーとこちらを睨んでいた。

「ん、広美ちゃん、そんな怖い顔してどうした？」

口に入れようとしたスプーンを止め、広美に問いかける。

「あっ、怖い顔してましたか」
「いや、私の料理への感想が心配で…」
「べ、べつに料理下手ってわけじゃないんですよ」
「ただ、あまりやらないっていうか、惣菜で済ましちゃうから」

太田は広美のアタフタした姿に笑いそうになった。
そして可愛らしいなと純粋に思ってしまった。

太田はスプーンに乗せたオムライスを口に運び、味を確認した。
その間、広美は心配そうに太田を見つめていた。

「んっ、モグモグ、うん、うん」
「おっ、旨いなこれ」
「広美ちゃん、これ旨いぞ、店に出しても問題ないぐらいの味だよ」

広美は太田の感想を聞き、一気に笑顔になった。

「でしょー、ですよねー、美味しいですよ」
「ほらほら、私料理上手いんですよー」
「さっ、たくさん食べて下さい」

太田はまるで広美と本当に付き合っているような不思議な気分になった。
しばらくして太田は食べ終わり、再びソファーに腰かけた。