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不埒に淫らで背徳な恋
第7章 【愛欲に溺れるのは不修多羅ですか?】




「でも私、ずっと心に居る人が居て……今でも思い続けてる、勝手に。だから田中くんの気持ちには応えられないの」




「僕の入る隙きはないんですね?」




身体を離し再び見つめ合う。
次はちゃんと目を見て伝えたいから。




「うん、ごめん…!それに私、そんな器用じゃないしどうするのが正解かはわからないんだけど、私はこれからも田中くんを叱りたいし褒めたいし出来ればずっと良き上司で居たいって思う……ダメかな?」




「そんなの……僕がお願いしたいくらいです」




「急によそよそしくなるのも周りに気を遣わせちゃうし今まで通りの私でいい?」





「変なこと言ってすみませんでした」




「平気……ちょっと焦ったけどね」




「ほら、その笑顔…!もっと好きになる…」




「はい、ごめんなさい……でも素っ気なくするのは無理」




恥ずかしさを紛らわす為に笑っただけなのにそれもダメなの…?
あからさまに露骨な態度は私が無理だよ。
田中くんに冷たくは出来ない。
う〜!またしても子犬のような瞳で見られてる……




「やっぱキス…」




唇を尖らしてまたねだるから「オイ」とチョップした。
懲りない奴だな……お願いだからシュンとするな。
その仕草に弱い。
だからってこんなことしたらまたみなみちゃんに怒られそうだけど。




チョンチョンと人差し指で肩に触れ顔を上げさせる。
目が合ったら私は自分の右手の指の腹に唇を着けた。
そう、まさに投げキッスをするかのように。




そしてその手をそのまま田中くんの唇に当てて間接キス……みたいな。
こんな子供騙しで納得してくれるわけないだろうけど今はこれで精一杯。




一瞬固まる田中くんにフッと微笑んだ。
意外と赤く反応する彼にこっちも恥ずかしくなった。
いい歳して何してんだろって。
敵わないな、と言って顔を隠してる。




その後、リビングで雑魚寝していた女子2人を寝室まで運んでもらった。
ベットで寝てもらい、私は床に布団を敷いた。
田中くんはソファーになっちゃうけど。





おやすみ…とドアを閉めて電気を消した。
それぞれ頭の中でお互いを考えちゃうんだろうけどこれで良かったんだって心底思える。
同時にチラつくあの顔を無理やり追い払って眠りについた。












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