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不埒に淫らで背徳な恋
第7章 【愛欲に溺れるのは不修多羅ですか?】







「えっ!嘘っ!月島くん書類忘れてる!」




フロアにみなみちゃんの声が響き渡る。何事かと思ったけど、へぇ〜あの月島くんでもこんなヘマしちゃうんだ?と感心しながら上着を手に取る。




そんなに慌ててたっけ?
受話器を上げて早速呼び戻そうとしたみなみちゃんを止めた。




「貸して?HASIMOTO化粧品さんでしょ?途中立ち寄るから」




「え、でも時間っ!」




私も午後からは違う場所で製薬会社との打ち合わせが入っている。
時間に余裕があるわけではないが自信はあった。




「大丈夫、絶対に追いつくから」




みなみちゃんから書類を受け取り悪戯っぽく笑ってみせた。
HASIMOTO化粧品さんは昔からよく足を運んでいたところだし抜け道も知っている。
まだ誰にも教えてないし教える気もない。




いや、一度だけ……佐野くんには教えたっけな。
あの頃はドキドキさせられっぱなしで動揺して教えてないこの道走っちゃったんだっけ?
あまりにも早く着き過ぎちゃって車の中で時間まで他愛もない話してた。




そんなことを思い浮かべながら颯爽と走り抜けていく。




宣言通り先に着いて待っていた。
みなみちゃんから聞いていたのか、車から降りるや否や辺りをキョロキョロしている。
早速低速で近付いて横付けしたらこっちに気付いて駆け寄って来た。




「マネージャー!すみませんっ…!」




運転席側の窓を開けてドヤ顔で封筒を渡す。




「どうした?珍しいね」




「色々考え事してたら初歩的なミスしちゃいました…」




「書類は揃ったんだから今からは落ち着いていつもの月島くんでね?じゃ、夕方…会社で」




「あ、あの…!この件は絶対にお礼させてください!」




「いいっていいって、良いプレゼン結果待ってるね〜」




ガ、ン、バ、レ……と口パクしたら窓を閉め発進する。
バックミラーに映る月島くんは見えなくなるまで深く頭を下げていた。
卒なくこなしているように見えていっぱいいっぱいなところを垣間見た。




何だ、ちょっと安心。
可愛いとこあるじゃん。




私の方の打ち合わせは長引いて少し遅くなった。
あの製薬会社の担当者、話長いんだよね。
まとめといてほしい。
結構年配だから話逸れてばっかだし。











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