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不埒に淫らで背徳な恋
第1章 【心の歪み、気付いてる?】




社員も10人ほどだし新人が入れば自ずと私が教育係になる。
気が付けば後輩全員教えて来たわ。





15時になるとコーヒーを飲みながら全員の現時点での仕事内容を把握していく。
会社に居ればその場で確認するし、出先だったらメールで教えてもらう。
極力定時で帰れるようにしてあげるのも管理職の務めなのかなって。




終わりそうにないなら手伝うし、残業が出ないのも会社の利益に繋がるから。
ギリギリで入ってくる重要案件もあるからなかなか予定通りとはいかない日もあるんだけど。
そんな日は私が残るしね。
管理職なんで、残業代あってないようなものだし。




あ、その分お給料でしっかりついてるんで大丈夫です。
同年代でなら、私は割と頂いてる方。
福利厚生も充実してるし働きやすい。





「それではお先に失礼します」




「お疲れさま〜」




定時になり部下が一斉に退社した後、自分のパソコンも閉じる。
部長は今日は…直帰か。
戸締まりしなきゃ。




今夜はビーフシチューにしよう。
携帯を見てメッセージがないからまだ仕事終わってないんだとホッとする。
特に急ぐ必要もない。




それなりに混む電車を乗り継ぎ最寄り駅に到着する。
改札を通り私の足は家の近くにあるスーパーはと向かう。




「瑠〜香」




突然名前を呼ばれビクッとした。
歩幅を合わせて隣からそう声をかけてきたのは見慣れた顔。




「稜(リョウ)ちゃん…!」




「エヘヘ、やっぱ良いな?瑠香にそう呼ばれるの」




「私はもう慣れたんだからそっちも慣れてよ」




「いや、まだまだ照れくさい」




畠中 稜士(ハタナカリョウジ)、
私の旦那で3つ年上の30歳。
普通にサラリーマンで出逢いは俗に言うナンパ…?
大学時代にバイトしていたカフェで声をかけてきた。





お断りしようとしたけど何度もめげずにアタックしてきてくれて通算10回振り続けたんだっけ?
それでも諦めきれないと最後の押しに負けてしまったのが今に繋がっている。




私も若かったんだよ。
当時、こんなに追いかけてくれる人なんて居なかったし……
稜ちゃんの真っすぐな気持ちが心地良くなっていたのも事実。











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