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不埒に淫らで背徳な恋
第1章 【心の歪み、気付いてる?】




「実家…!?」




「うん、今週の土曜休みでしょ?瑠香と一緒に顔見せに来いってさ」




それ、クソ忙しい朝の時間帯に言う…?
昨日いくらでも言えたじゃん。




「あぁ……うん、わかった」




「よし、じゃあ連絡入れとく」




鏡を見ながらピアスつけてるのに後ろからハグしてきて顎クイからのキス。
危ないってば。




「ん〜瑠香と結婚して良かった……一緒に実家帰れるとか幸せ過ぎる」




「大袈裟だよ……」




たまに稜ちゃんは私を買いかぶりすぎる。
声に出して言ってくれてることは恐らく誰もが羨む嬉しい言葉。
家族になって欲しいってそういうことなんだよね。




少しでもくっついてたい旦那と、
割とそうじゃない私。
いつからこうなったんだろう?
タイミング……なんだよね。




時計見るフリして急ごうと言うこのくだりも何回目?
本当、電車乗り遅れちゃうってば。




玄関を出て誰かに会えば挨拶もする。
きっと仲の良い新婚さんとでも思われてるんだろう。
実際、何度か言われたし。




マンションのエレベーターに乗ったのが私たち2人きりだった場合。
絶対してくるキス。




嫌じゃないの。
女として見てくれて嬉しい反面、
ビシッとスーツ着て仕事モードに切り替わってる私とつい温度差があるよなって思ってしまう。
頭の中はもう仕事してるのに。




毎朝同じ時間に家を出て一緒に駅へ向かう。
会社は違うから駅に着いたらバイバイだけど。
たまには振り返ってよって言われる。
私って結構ドライなのかも。




それを思い出して振り返ったらまだこっち見てくれてて……再び手を振る。
ヤバっ、私の乗る電車来た…!




こんなことも度々あって
朝から調子が狂っちゃうこともある。





「畠中チーフ、おはようございます」




「おはよう」




会社に着けば完全にオンモードで切り替わってるんだけどね。
コーヒーを入れていると部長に呼ばれる。




あ、そうだ。
今日から新入社員が来るんだった。




全員集められて紹介を受ける。
初対面だった彼は誰もが認めるイケメンでサラサラの前髪と漆黒の瞳。
筋の通った鼻に艶のある唇。
緊張してるのか頬がやや赤く染まってる。











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