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生徒会長・朝倉美咲
第5章 爪痕
プルルップルルッ


美咲は携帯電話の呼び出し音で目覚めた。いつの間にかウトウトしていたらしい。


「もしもし」

「あ、寝てた?ごめん」

「ううん、平気」

「あのさ、プリント持ってきたんだけど、出てこられる?具合悪いなら郵便受けに入れとこうか?」

「え、もしかしてわざわざ家まで来てくれたの?」

起き上がって窓から下を見ると、玄関前に友人のれー子こと曽根田礼子が立っていた。

「すぐ行く!」

慌てて手櫛で髪を整え、部屋を飛び出した美咲は階段をかけ下りた。



「プリントも見舞いも口実でパソコンが本命なんじゃないの?」

「てへへ、バレた?」

部屋に入り込むなり
「パソコン借して!」
と言い出し、かれこれ30分ほど経過している。

「だってお気に入りサイトの更新が気になるんだもん!」

パソコンが壊れたから使わせて、と言って来たのが3日前のこと。部品を取り寄せ中とかで時間がかかるらしい。


「まさか、これから毎日来る気じゃないよね?」

「え〜、だめ?」

「だめ!」

「ケチ〜」


うたた寝とはいえ寝て起きたせいか、笑顔で冗談を言えるくらいには回復していた。
黙っていると色々思い出してしまうので、むしろいつもより饒舌なくらいだ。

「お見舞いも持ってきてあげたじゃ〜ん」
と、紙袋を指差す。

「飽きていらなくなった本を持ってきただけでしょ!?古紙回収に出しなさいよ」

「だって回収の人にエッチな本読んでるって誤解されたら恥ずかしいもん」

「読んでるでしょ!だいたい買った時点で本屋さんにはバレてるじゃない」

「美咲と本屋に行った時に、こっち(エッチ本)は彼女の分なんで別の袋にしてくださいって言ってるから私は恥ずかしくないよ?」

「これ美咲のバッグに入れさせて♪って言ってたのは私に罪を着せるためだったの!?」

「てへぺろ♪」

「れー子、あんたねぇ…」

「いいじゃん、美咲も読むんだしさぁ」

「か、え、れ」

「怒っちゃイヤン」

「帰れーー!」

「きゃー」



「土日ゆっくり休んだら、
月曜には学校に来られるよね?」

美咲が頷くと、

「またパソ借りに来るね〜」

ニヤッと笑い、礼子は去っていった。
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