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性に溺れる私
第3章 【先生への逆襲】








「藍沢玲奈」




「はい」




ちゃんと先生を見て返事が出来ている。
一瞬だけ目が合う瞬間。
それまでずっと疼いていた身体はもう火照らなくなってきている。




あれから数日が経った。




お互い連絡はせずそれぞれの日々を送っている。
何の不備もない。
ただ、以前の日常に戻っただけ。
違うと言えば……




「藍沢さん、帰ろう」




保健室でのやり取りがあってから毎日のように真っ赤になりながらも誘ってくる猪俣くんの姿。
もうほぼほぼ好きだと言われているようなもんで困る。




負けじと穂高くんも参戦するが部活行けだの行かないだの目の前でバトられるのも慣れて来た頃。
ジッとそんな二人が落ち着くのを待っている自分。




バスケ部の部員が穂高くんをサボらないように迎えに来てくれて一件落着。
「いーやーだー!」と叫びながら連行されてる。
笑いながらそれを見送り、私は当たり前のように猪俣くんに「帰ろう」と言う。




きっとクラスの皆は私と猪俣くんはもう付き合ってるものだと思っているのかも。
まだ言われてないんだけどね。
近いな…と肌で感じているけど彼は重度の奥手らしい。




私のひとつひとつの仕草に極度に照れるしすぐ固まっている。
不思議ちゃんで通っている私ですらお手上げ状態なんですけど?
それでも飽きずに私に付きまとうのはそうなんだって解釈しとけばいい?




下校時間に降りしきる雨。
予報を見ていた私は折りたたみ傘を常備している為、ロッカーから取り出し鞄の中に入れた。
猪俣くんは忘れたみたい。
仕方ない、相合い傘作戦だなって少し企んでみたりしたのに。




「あっ、俺…折りたたみ持ってて」




目の前に出されたからアチャーって思ったけど「一緒に入る?」と聞いてきたから乗ってあげることにした。
下駄箱で堂々と言うから周りからも冷やかされる。




急に固まったり急にグイグイ来たり……忙しいね。




「先生さよなら〜」




猪俣くんの後ろの方で挨拶する生徒の声が聞こえてきた。




「足元悪いから気をつけてな」




声だけでわかる。
というより真っ先に拾ってしまう声。
チラッと目が合ってしまった。
先生は背が高いから……すぐに目が行く。
見つけてしまう。











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