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性に溺れる私
第4章 【魅惑的な四角関係】







「大樹、髪伸びたね」




「うん、伸びた」




わざと聞こえるように言う。
隣に穂高くん。
授業が終わり黒板を消している榊先生。
ガヤガヤしてるとはいえ充分聞こえただろう。




自分のヘアゴムで前髪を縛ってあげる。
パイナップルみたいになった大樹に鏡を見せて一緒に笑った。
お互いスキンシップし合う、いわゆるいちゃつくカップルを演じてる。




「玲奈もやってよ」




「イヤだよ、アハハ」




普通に呼び捨てで呼び合ってることにクラスメートも冷やかしてくるが初々しく照れたりもして良い感じに染み渡ればいいなと思う。




ガタン!と音を立てて立ち上がりスタスタと教室を出て行く穂高くんと静かに扉を閉めて出て行く先生。
まるで正反対な二人だね。
そんな二人が私を求めてるなんて誰が想像つく…?






「コスプレ喫茶!?ダメダメ!!」




文化祭の出し物で多数決の結果、このクラスは男女逆転のコスプレ喫茶になろうとしていたが、珍しく大樹が断固反対している。




「藍沢さんのコスプレ独り占めしたいだけだろ〜」なんてからかわれてるけど、私はコスプレなんてしないから。




「ハイ、私はメイク担当します!」




こう宣言しておけば安心するでしょ。
三人ほどでクラス全員分のヘアメイクをすることになった。
空いた時間に呼び込みや調理の手伝いだからコスプレする時間なんてないし、第一私は裏方が似合っているのだ。




下校中。
まだ納得してない大樹を宥めながら歩いてる。




「私がコスプレする訳じゃないからいいじゃん?」




「そうだけど……女子が玲奈のコスプレ見たいって言ってた…絶対させるやつだ」




「アハハ!しない、しない」




「万が一ってこともあるだろ?他の男子に見られたら絶対嫌だから…どんなコスプレでも」




「大樹〜私ヘアメイクだよ?調理補助だよ?機嫌直してよ〜」




可愛くほっぺ膨らませて。
聞く耳を持たないって感じだから後ろからギュッと抱き締めて立ち止まらせた。




「大樹……怒んないで」




「ごめん……玲奈は悪くない、俺がガキなだけ」




抱き締める手を重ねてきた。














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