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ブレインウォッシャー
第2章 新生活
 俺の前には金崎さんと孝の父先代組長、そして孝の年の離れた兄四代目組長が揃っている。子供の頃はオジさんと呼び可愛がってもらっていたが今は立場がちがう。
 金崎さんはテーブルの上に赤字で何点か印がしてある地図と数点の写真を並べる。
 「ここが何処か判るか?」
 指された所はあぁ、あそこか。
 「数年前の地震で大きな被害うけて閑古鳥が鳴き始めた歓楽街ですよね。」
 「そうだ。県も地震復興を錦の御旗に大規模な区画整理をしようと目論んだ。シネコン付きの大型ショッピングモールを目玉に様々な商業施設を建てる計画だ。この話を聞き付けたヤクザはどうすると思う。」
 「幾つかの土地を安く買い叩き県が立ち退き料を上げて来るのをのんびり構えて待つ。」
 「ご明察。うちも傾きかけたラブホテルを買った。が、区画整理の話しは流れた。」
 「何故?」
 「県が買った土地を調べたら遺跡が出てきた。」
 「うわぁ~。御愁傷様」
 金崎さんも組長達も苦笑いだ。
 「全くだ。うちと同じことを考えて土地を買った他の組は雀の涙程の利益だけ持って撤退した。」
 「五爪龍会は引かない?」
 「ああ。寂れたとはいえラブホテルだ。一部屋1日一組のみの使用としてもフル回転すれば月200万以上の金を産む。」
 「成る程。で、それと俺の新居に何の関係があるんです?」
 「このホテルの雇われオーナーにならないか?」
 五爪龍会の提案はこうだ。
 なんとかこのホテルの経営を改善させて収益を得たい。その為の改装費等必要経費は会が持つ。それで取り敢えず半年様子をみて駄目だったら傷が広がらない内に撤退する。
 オーナーになるなら最悪60万円を家賃として失うがもし利益があれば純利益の四割を上納金として納め残りは懐に仕舞っていい。
 金の事だけを考えれば悪い話ではない。だが。
 「俺ヤクザになる気はないんですが。」
 「誰も慎哉に盃下ろそうなんて考えてないさ。弟が死んだ今も線香上げに来てくれるのは慎哉だけだ。そのお礼代わりと思ってくれ。」
 四代目の言葉に嘘はない。
 実は面子が揃った時点でブレインウォッシャーを使い「本音で話せ」とだけ命じておいたのだ。これがあるかぎり海千山千の古狸だろうが金毛九尾の化け狐だろうが腹芸は使えない。
 「受けましょう。」
 続けて述べたホテル運営案に大人達は開いた口を閉じるのを忘れた。

 
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