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第2章 聞いちゃった

　全てが終わると和尚は疲れはてたのか京花の膝の上で寝息をたてた。
　それから京花の稽古の時間は30分短くなり帰宅時間は1時間遅くなった。一時間の延長に関しては和尚が親を説得した。「レベルの低い他の子と一緒に稽古するのはマイナスでしかない。京花には才能があるので私が指導したい。」スポーツ少年団の指導者は二段だが和尚は四段だ。比べるまでもない。親はすぐに了解した。京花をマンツーマンで指導する和尚の周りに若い男が居ない事も決め手の一つだった。無論親は知らないが増えた90分は下半身のお勉強時間だ。稽古の時間は短くなったが内容は数倍濃くなった。剣の腕はメキメキ上がり少年団の指導者の手に負えなくなったので団は辞めた。京花という突出した異分子がいなくなって団のレベルは仲良しチャンバラに落ちたが京花には関係のないことだ。
　夏休みの京花のスケジュールは朝6時にシャワーを浴びて身を清めてから軽い食事をとって家を出る。7時過ぎに寺に着くとお勤めをしている和尚の読経をBGMに宿題をする。9時になるとお勤めを終え道着に着替えた和尚と30分休憩をとる。この時間で京花は着替えるのだがそれには別室が与えられている。和尚にとっても稽古の時間は神聖なものらしい。
正午までビッシリ稽古をすると二人とも汗だくだ。稽古を終えると浴室に直行する。脱衣場では和尚が京花の、京花が和尚の道着を脱がせる。脱いだ物は下着まで全て洗濯機の中だ。もともとは多くの小僧が修行していた寺だ。大人数が入れる様に浴室も広い。ここには普通の家では見掛ける事のない物が何点かある。一つは壁に立て掛けてあった業務用ソープマット。和尚はマットを洗い場に置くとシャワーで濡らしてその上に仰向けに寝る。そこへ身体中をローションでヌルヌルにした京花が抱きつき和尚の大きな身体に自分のローションを塗りつける。世にいうマット洗いだ。これは風俗に行ったことのない和尚がやってみたいと京花に頼んだのだ。京花はネットの映像の厭らしさに一も二もなく了承した。そこからは早い。酒も女も博打すらしない清廉潔白な和尚様だ。金は有る。ネットなら店に行かなくても大抵な物は買える。こうして神聖な寺には相応しくない俗欲にまみれたグッズが増えていく。マットの横で出番を待っているスケベ椅子もその一つだ。