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わたしを見ないで
第4章 指名返し
 ホテルを出たあとの別れ際。
 ビルの影になったところで先生はわたしの腰を抱いた。

「ま、がんばりなよ」

 と言った先生の手がわたしのカバンに一瞬伸びて…
 背中を見送ったあと中を見たら、四つ折りの五千円札がローションボトルの上に乗っかってた。
 


 事務所に帰り店長の顔を見た瞬間、わたしは声を上げて泣いてしまった。


「どうしたの!?なにかされた!?」


 河村隆一みたいな雰囲気の店長は年齢不詳だ。
 泣いてるわたしの肩を掴み、心配そうに顔を覗き込んでる。

 他の男性スタッフ数人も駆け寄ってきてわたしを気遣ってくれた。
 奥では電話がひっきりなしに鳴り響いてる。
 出勤してきた女の子が泣いてるわたしにビックリして…すぐに他のスタッフに促され、別室に移動していった。

 スタッフの1人が時計をチラッと見てから店長にアイコンタクトを送ったのが分かった。
 泣いてる暇はないとは分かってた。


「ごめんね…あの人、女の子からの評判も良かったから、スタッフも安心してたんだけど…」


 泣きじゃくるわたしに店長は優しくそう言った。
 先生が店の常連であることが発覚してわたしは余計情けなかった。

 首を左右に振り、かばんからさっきの五千円札を取り出して店長に差し出す。
 店長がわたしの顔と四つ折りの紙幣を交互に見ている。
 スタッフの一人がわたしに、


「まさか円盤受け、」


 と言いかけて、店長がそれを遮った。
 スタッフ同士は顔を見合わせていたけど、店長はしっかりわたしの顔を見て、優しい口調で訊いてくれた。


「チップもらったんだね?そうだよね?
 気に入られたんだと思うけど、あの人の接客が辛いならNG出そうか?」



 私はもう一度、一番大きく首を左右に振って…



「いえ、大丈夫です。すみません。すぐに用意してコールします」

 
 と言って、心配してくれた店長に頭を下げた。



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