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掃き溜めの星屑
第1章 掃き溜めの星屑
授業が始まった。
数学だ。
だがしかし、この教室に九九をすべて言える生徒が何人いるだろう。
「橋本くん、ひちし…なんだっけ?」
池田くんが通路を挟んで横に座ってる橋本くんをシャーペンで突いてる。
橋本くんは片眉を上げ、
「7×4?」
と聞き返した。池田くんが頷く。
「28だよ」
小声で橋本くんが教えてくれた答えを池田くんはプリントにぐりぐり書き込んでいるけど、そもそもこの問題に掛け算はつかわない。
「アー、飽きてきちゃったー」
教室の隅っこにいた15歳の武田さんが急に立ち上がって伸びをした。
武田さんは背の高い今風の女の子だ。
彼女は5分に1回は立ち上がらないと身が持たない性分らしい。
「武田さん座ってー」
黒板の前に立っているプレレスラーみたいな見た目のガタイの良いジャージ姿の秋芳先生が、武田さんに“口だけの”注意をした。
秋芳先生は昔、生徒に手を出したせいで、この夜間高校に飛ばされてきたらしい。
数学だ。
だがしかし、この教室に九九をすべて言える生徒が何人いるだろう。
「橋本くん、ひちし…なんだっけ?」
池田くんが通路を挟んで横に座ってる橋本くんをシャーペンで突いてる。
橋本くんは片眉を上げ、
「7×4?」
と聞き返した。池田くんが頷く。
「28だよ」
小声で橋本くんが教えてくれた答えを池田くんはプリントにぐりぐり書き込んでいるけど、そもそもこの問題に掛け算はつかわない。
「アー、飽きてきちゃったー」
教室の隅っこにいた15歳の武田さんが急に立ち上がって伸びをした。
武田さんは背の高い今風の女の子だ。
彼女は5分に1回は立ち上がらないと身が持たない性分らしい。
「武田さん座ってー」
黒板の前に立っているプレレスラーみたいな見た目のガタイの良いジャージ姿の秋芳先生が、武田さんに“口だけの”注意をした。
秋芳先生は昔、生徒に手を出したせいで、この夜間高校に飛ばされてきたらしい。