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地味子が官能小説を書いたら
第12章 プロローグ
文剛が、美鈴に告白⁉

文剛の好きな人とは美鈴だったのか、ではなぜ、桐谷とラブホに入ったのだろう?
しかし、このことは敢て美鈴に言う必要はない。

それに、美鈴が文剛の相手なら私は、むしろ嬉しい。これほど完璧にフラれれば、もう思い残すことはない。

「そっか、ミリン、わたしに遠慮しなくて良いから考えてあげて、文剛君は良い人だよ」

悲しいはずなのに、嬉しい。でも少し涙が滲む、複雑な気持ちだった。


『いやいや、わたしの話し方が悪かった、ちょっと興奮してるんで、わたしもおかしくなってる』

「?」

確かに、美鈴は興奮していて少し支離滅裂気味だ。



『早川、馬鹿だわ。血相変えてわたしの事を掴まえて、 好きなんだ なんて、遥もいたのに』

『で、わたしの事を好きなのかと思ったら、 花音ちゃんの事が好きなんだ って言いなおして、はあ? だよ」

「え、今、なんて言った?」


『カノンが好きだって、早川のヤツ 笑』

「文剛君がわたしを?」

ますます分からない、どうなっているのか……それに何故それを美鈴に言う?

『自分で言えよ! って言ったら、アンタら連絡先も交換してなかったんだね、どんだけ不器用なの 笑』

そうだ、私たちは連絡先を交換していない、だから直接会って話すしかなかった。

『しかも、明日で良いじゃんって言ったら、泣きそうな顔してさ、男の人と車に乗って出かけてた、直ぐに連絡取りたいって騒いでさ、馬鹿みたい』

「あはは」苦笑いする私。

『まあ、そういう事だから、なんとなく上手くまとまった? のかな?』

そうとも言えない、まだ桐谷との関係が何だったのか分かっていない。

『でも、どうして早川はカノンに、 他に好きな人がいるって 言ったんだろ? 最初からカノンが好きだって伝えていれば、こんなに拗れなかったのに』

「分からない、彼に確認してみないと」


『でも、良かったね、好きな人が、自分の事を好きで』

「うん、ありがとう、ミリン」

『この幸せ者! 今度わたしと遥に奢りなさいよ! 早川のツケで 笑』

『あ~、あと、早川から伝言 よんでくれ だって、なんのこと?』

さよならを言って電話を切る。


よんでくれ……

なんのことだろう?




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