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† 姫と剣 †
第5章 来賓
「どんな方でも、私はお姉さまを応援していますよ」
「シャロン………」
優しい言葉にルシアは緩く笑う。
応援……
されたところで叶うわけのない恋であることに変わりは無いのだが。
深呼吸するように息を吐いたルシアは、再びリューイを見た。
「リューイ!」
声を掛けると、リューイは剣を下へ向けて振り返る。
「手合わせしましょう」
「手合わせ……」
「ええ」
返事をしたルシアは、マヤに向き直る。
「木剣を持ってきてくれる?」
「……分かりました」
そのままその場から離れていくマヤを目で追いながら、リューイは表情を変えない。
「申し訳ありませんが、もう姫と決闘をする気はありません」
「決闘じゃないわ。手合わせを私があなたにお願いしているだけ」
「……………」
「手負いのあなたとは決闘しないわ。そんなのずるいじゃない」
ニコりと微笑んだルシアに、リューイは小さくため息のように息を吐いた。
「手負いであろうと…勝敗は変わりません」
「いいから。あなただって、相手がいた方が、なまった体を取り戻せるでしょ?」
マヤが2本の木剣を持って戻ると、リューイは持っていた大剣を背中に収める。
そしてルシアは受け取った剣の一本をリューイへ投げた。
「…………傷が開かないように、軽く、ね」
投げられた木剣を軽くキャッチしたリューイが構えた。