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† 姫と剣 †
第5章 来賓
手合わせが始まる。
華麗な2人の立ち回りに、剣が交わる。
そんな2人の姿に、シャロンとマヤは呆れた様子で見守る。
「これが……2人の会話なのかもね」
「そう…みたいですね……」
理解出来ないとばかりのシャロンのため息に、マヤはそういえば、と言葉を続ける。
「シャロン様は剣技などなさらないですね」
「しないわよ。怪我したくないし」
あっさりとしたシャロンの返事に、マヤは姉妹でこうも違うものか、とぼんやりと考える。
「お姉さまは昔から、『自分の身は自分で守らなくちゃ』ってそればっかり。今となっちゃあんなに強い騎士が側についているっていうのに」
「そう、ですよね…」
未だに剣を交えるルシアとリューイを見ながら、マヤはコクリと頷く。
ルシアは昔から、『自分の身は自分で守る』が口癖だった。
特には、何かに取り憑かれたように剣を振り……
まるで何かを恐れているようにすら、見える時もあった。
カンっ!と音を鳴らして2人の木剣が交差する。
その合間、ルシアはリューイに「ねえ」と声をかけた。
「……………」
「あの日あなたを、いや、私を襲った敵について何か見当はついている?」
ルシアの言葉に、少しだけ目を見開いたリューイは、剣を弾いてさらに上から振り下ろす。
柔い力の剣。
もちろんルシアはそれを受ける。