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† 姫と剣 †
第5章 来賓
「その話をしたくて、手合わせを…?」
「…………半分はね」
「聞かれないように、ですか」
リューイの言葉に、ルシアは小さく頷いて、剣を捻る。
小声で、2人にしか聞こえない。
「分かりませんが」
「…………っ…」
「姫と同じく、内部のものと思っております」
リューイもルシアと同じく、あの日の敵は内部にいると踏んでいた。
分かっていたから、多人数のいる病室ではルシアとその話をしてこなかったのだ。
リューイの言葉に、ルシアはぎゅっと口をつぐむ。
誰かが、自分の命を狙っている。
何のために……
そして……
「そろそろ、ミサンガのことも───」
話を変えたルシアの一瞬の隙をついて、リューイはルシアの剣を振り上げる。
「っ……───────」
ルシアの腕から離れた剣は、クルクルと回りながらリューイの方へ向かっていくと、リューイはそのままそれを空中で掴んだ。
「お手合わせ…ありがとうございました」
両手に剣を持ちながら、リューイが頭を下げると、どこからともなく拍手が聞こえてきて、皆がそちらを向いた。
「いやぁ……。何度見ても美しい……」
柱にもたれながら、そう呟く相手にルシアもリューイを目を見開く。
そしてリューイはすかさず両手の木剣を捨てて背中の大剣を抜いてその男に向けた。
「なぜここにいる」
黒髪に青い瞳。
ロイ=セアナス=アノアは動ずることなくリューイを見つめ返す。