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† 姫と剣 †
第5章 来賓
柱から体を起こしたロイは、リューイからルシアに目を向けて、足を進めるが、リューイが剣を横に伸ばし、それを阻む。
「姫に近付くな」
「………相変わらず厳しいな」
「当たり前だ。姫は許しても、俺はお前を許していない」
横目でキツく眺めてくるリューイに、ロイはフッと小さく笑う。
「何用ですか」
毅然とした態度のルシアがそう尋ねると、ロイは胸に手を当てて膝をつく。
「正式に婚姻を申し込みに参りました」
「婚…姻……」
「ええ」と返事をしたロイは立ち上がってルシアをじっと見つめる。
「父が今、ローハーグ王に話しているかと」
「っ……アノア国王が直々に…」
突然の来訪にルシアが驚くのと共に、アマンダがルシアに駆け寄って同様の内容を知らせる。
「あのような事をしておいて、よくものこのこと」
リューイの冷ややかな言葉に、ロイは片眉を上げる。
「これは国と国の話。お前のような身分のやつが口を出して良い事柄ではない」
ロイの言葉にリューイは言葉を失ったまま依然としてロイに剣を向ける。
「国と国……。何故ですロイ王子っ……同盟など興味がないと────」
「────ええ、ありません」
きっぱりとロイが言い切ったのと共に、風が横から吹いて、ルシアの髪が揺れる。