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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国


短髪の黒髪に、まるでガラス玉を思わせる水色の瞳。


肌は白く、その儚さと美しさから、ルシアは瞬間的にロイに似ている、と感じた。




「本当に緑眼だ、すごいなぁ」


「───おい、ウィル失礼だろうが」



もう1人が、また別方向から登場して、またルシアとリューイは体を向ける。



ロイと同じ長い黒髪に大きな体、瞳は…やはりロイの同じく青く輝く。


キリッとした眉毛に男らしい顔立ち……


鋭い眼光を向けながら、その男はルシアに近付く。


まるで両手足を縛られたかのような感覚に陥ったルシアの前で、その男は胸に手を当てながら、頭を下げる。




「弟の失礼をお許しください」



「…………弟…」



「わたくし、イーサ=バルマ=アノア……」



アノアの響きに、ルシアはやはり、と納得した。

 


「そこにいる無礼者は、お恥ずかしながら私の弟でウィルと申します」



顔を上げたイーサに笑みはない。




「わたくしがこの国の第一王子。そしてウィルが第二王子」



「…つまり………」



ルシアのそれだけの言葉で、イーサは「えぇ」と返事をしてロイに視線を投げる。



「そこにいるロイの兄です」



かしこまるイーサとは裏腹、第二王子のウィルは変わらず不躾にルシアの手を握る。




「よろしく! 俺のことは気軽にウィルって呼んで!」



「え、あ……」



まるで友だちのような軽々しい態度に困惑していると、イーサはため息を吐き、ロイはウィルからルシアの手を奪う。


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