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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国


「兄上……ルシア姫が困惑しています。おやめください」



キツく睨んだロイの様子に、ウィルは目を丸くして、「へぇー!」と声を上げる。




「あのロイが、父上に頭を下げたっていうから、ただ事じゃないなぁとは思っていたけど…」


「………………」


「本気なんだね!!」



ニコリと笑った兄の姿にロイは顔を歪ませる。



案の定、優しい笑みから妖しい顔を見せるウィルはルシアをまたじっと見つめた。




「ロイが欲しがるものってすごく…気になるんだよね」



「………ルシア姫はものでございません」



「ロイの言う通りだ、ウィル、いい加減にしろ」




イーサは、ウィルの胸を押さえてルシアから引き剥がす。


それでもウィルは怯むことなくイーサを見つめる。




「そんなこと言って兄上だって気になってるでしょ?」



「馬鹿なことを言うな」




はぁ、と深くため息をついたイーサに、ウィルはけたけたと笑う。




リューイは脇で三兄弟を眺める。



長男イーサはさすがに良識があるように見える。


頭も切れそうだが、体も大きく、鍛えているのが服越しでも分かるほどだ、きっと武力もある。



一方の次男ウィルは、ロイ以上の奔放な性格であることが分かる。


掴みどころがなく、いまいち何を考えているのかが分からない。



なんとまぁ、厄介な三兄弟だ……とリューイは心の中で呟いた。



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