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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国





ルシアは案内されるがまま、使いの後をついていく。


その背後で警戒を怠らぬリューイとは裏腹、マヤとアマンダはキャーキャーと2人で騒いでいる。




「私はイーサ王子かなっ……! 1番常識人って感じで逞しいし大人の色香が漂ってたし」


「ウィル王子も素敵でしたよ。宝石みたいな水色の瞳、それにまるで女性かのようにお顔立ちが整っていて……」


「分かるわぁ……でも、それで言ったらやっぱりロイ王子が1番麗しい…かしら…」




はぁとため息をついたルシアはチラと後ろを振り返りながら歩く。




「ちょっと、あなたたちうるさいわよ」




ルシアの指摘に、へへへと笑ったマヤが頭を掻く。



だが、華やかな異国の地と麗しい三兄弟を前にして興奮が冷めることはなく、マヤとアマンダはふふふと笑い合っている。




「こちらです」



通された部屋の中を見て、ルシアはまた息を飲んだ。



立派な部屋なのはさることながら、自国ローハーグでは決して見ない色使いに胸が躍る。




「本当、アノア王国って出し惜しみしないというかなんというか…」



「綺麗ねぇ……」



「では……何か御用がございましたら、何なりと…」




使いのものが去る中、別の方向からの足音に気付きリューイは目を凝らす。


そして、姿を現したロイにリューイはふん、と息を吐いた。



「姫」


「……? リューイ、どうかした?」


「奴……いやロイ王子がいらっしゃいました」



その声掛けと丁度のタイミングで、ロイはリューイの隣に並んだ。



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