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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国
「お、王子っ……?」
突然のことに少し体を強張らせながら、ルシアはロイを見上げる。
ロイの青い瞳がゆらゆらと揺れる。
「あなたをここに連れてきて良かった…」
甘い雰囲気に戸惑いながらも、その瞳に捉えられる。
そのまましばらく見つめ合うルシアとロイの姿を、リューイは遠目で眺めていた。
「─────────……」
ステンドグラスが外から光を取り込んで、2人の周りを彩る。
姫と王子 ────────
何一つ違和感のないその関係。
立ち入る隙などなく、美しく輝く二人を少し陰ったところからぼんやりと見つめていた。
「………すごく…絵になるわね…」
「ほ、ほんと……ですね」
リューイの脇でマヤとアマンダも、二人の姿にうっとりとしている。
ロイの視線がルシアの瞳から、ゆっくりと唇に注がれる。
「………お…うじ…………」
それに気付いたルシアの手から、するりと本が落ちると、その音が響いてルシアはビクりと体を震わせ我に返った。
「あ……ご、ごめんなさい」
ロイから視線を外したルシアは腰を曲げて落とした本を拾うと、ステンドグラスの反射で彩られた床を見て、ハッと息を飲む。
「………姫……?」
顔を上げたルシアは窓を見つめて微笑むとそのままソファーから立ち上がった。
「ロイ王子!」
「どうしかしました?」
「日が出てきたみたいです!」
同じく立ち上がったロイも窓の外を眺める。
「本当…ですね」
「外、行きませんか?」
「ええ」と返事をしたロイは髪をかき上げて、少し切なげに笑った。