この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第6章 アノア王国
昨日会った、第一王子のイーサと第二王子のウィル…
そして今目の前にいる、エマとリタ…
ルシアは脳内でロイを含む5人の姿を思い浮かべる。
紛うことなき華麗なる兄妹……だ。
「すみません、ルシア姫…こちらは妹のエマとリタです。ほら、挨拶しろ」
「「こんにちは」」
そっくりな容姿にピッタリと声を揃える2人は問わずとも、双子であることが分かる。
「あ、こんにちは…私、ローハーグから来ました、ルシアと申します」
少女相手に丁寧に頭を下げるルシアに、エマとリタは顔を見合わせる。
そして、再び同時にロイの方を向いて目を輝かせた。
「ついにロイお兄様がご結婚なさるって聞いてびっくりしたけど」
「まるでティーファ様のような素敵なお方ね!」
「ロイお兄様とお似合いだわ!」
「私たち、こんなお姉様が欲しかったの! ね、エマ!」
うんと、リタが頷くと、今度2人はルシアの方を向いてそれぞれがルシアの左右の手を握る。
再びロイが静止する間もないまま、2人はまたノンストップで話し続ける。
「ロイお兄様は、3人のお兄様の中で1番優しいの」
「だからルシアお姉様もきっと幸せになれますわ!」
「そうそう、それにロイお兄様はまだご結婚もされていないし、ね!」
気の早い『お姉様』という呼称を訂正しようにも、勢いが止まらずに話す間がなくルシアは困り果てる。
そしてルシアの手は握ったまま、エマとリタはロイの方を見た。