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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国
「ロイお兄様は、イーサお兄様やウィルお兄様みたいに何人も妻を娶ったりなさらないわよね!?」
ね!?ね!?と責めるように迫られて、ロイは2人の手を取ってルシアから引き剥がす。
「あぁ、もちろんそのつもりだ。だからそう騒ぎ立てるな…」
「「やっぱり!! さすがロイお兄様!」」
まるで何かの劇を見ているかのような、そんな気さえしてきてしまうほど、息がぴったりだ。
シャロンもおませで、ペラペラと話すが、エマとリタほどではない。
何より、ロイが圧倒されている姿が面白くてルシアはフフっと笑った。
「すみません、ルシア姫…」
「いいえ。王子の違った一面が見れて、良かったです」
「んん」と声を詰まらせたロイはぽりぽりと頬を掻く。
ロイにとって厄介でしかない兄妹の存在だが、満足そうなルシアの表情を見るとなんとも言えない。
「また今度遊んでやるから…今日は邪魔しないでくれ」
「邪魔だなんて! 私たちロイお兄様の邪魔をする気なんかないわ!」
「そうよ!」
まだぺちゃくちゃとうるさい妹2人をいなしたロイは、咳払いをすると、気を取り直してルシアを目の前の果実園に案内した。