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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国
皆の羽織っているマントがヒラヒラと靡く。
宮殿の敷地内とは言え、建物からは少し離れた外のようで、使いの後をついていく。
「少し離れているのね」
「みたいですね」
隣を歩くマヤにそう声を掛けると、道を指し示すように両脇にロウソクが立ち並んでいるのをみて、わぁと声を漏らした。
日が落ちて暗くなっていたために、ロウソク特有の優しい光がより際立っている。
そしてしばらくすると、皆を引き連れていた使いのものが、振り返ってリューイを見た。
「天然の湯浴み処は、ここからすぐ先になりますので、男性はこちらで……」
困ったリューイは、指で頬を掻く。
「しばらく待っててくれるかしら…」
「………はい」
少し不安そうなリューイに、ルシアは少し笑ってその先に進んだ。
すぐに現れた小屋のような建物の中に入ると、使いの者が、「こちらです」と言って、湯浴み処を指し示めした。
「素敵…───────」
先程の道以上に多く配置されたローソクが、辺りを優しく照らす。
その温かな光の中で漂う湯気が、幻想的な雰囲気を作り出して、ルシアはうっとりとしながらため息を漏らした。