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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国




マヤとアマンダが、ルシアの長い髪を湯に浸からないように器用に結う。



そして、服を脱いだルシアは、少し恥ずかしさを感じながら、湯にゆっくりと足を入れた。



程よい湯加減に、微笑みながら、そのままそっと体を浸からせていく。




「姫、いかがです?」



「うん……とっても気持ちいい」



両手で湯を掬いながら、微かに香る匂いを楽しむ。


湯浴みをすることはあっても、天然の、しかも外でということは中々ない。




「外で、裸っていうのはちょっと慣れないけど……。風を感じながらっていいものね」



ふぅーと息を吐いたルシアはへりに頭を乗せて空を見る。



湯気の奥に広がる満天の星空に身を癒しながら、ルシアはここ数日のことを反芻していた。



家族の前で見せたロイの意外な様子。



図書館で向けられた熱い眼差し……



ルシアは自分の腕を抱えると、湯がちゃぽん…と音を立てた。



そして、サワン畑で見せた、リューイの様々な表情。




「──────……」




胸が少しだけざわついたのを感じて、深いため息が漏れる。



最悪だったロイの印象も、アノアに来て共に過ごすうちに段々と良くなってきているのは、事実だ。



それに、ロイとそうなる事が1番良くて、丸く収まるということも頭では分かっている。




それでも、側にいるリューイのする事なす事に一々胸を弾ませて、あるはずもないその先の幸せを思い描こうとしてしまう。



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