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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国
「ウィっ…ウィル王子……! なぜここにっ…!」
慌てるルシアの体を舐めるように見つめたウィルは、ペロリと舌なめずりをして微笑む。
「姫の周りは警備が厳重でね。お話したいのに中々近付けなかったから」
「っ……」
「湯浴みのタイミングならいけるかな、と思ってね」
ゴクリと唾を飲んだルシアは、抵抗しようと試みようとする。が、あまり暴れてしまうと体に纏っている布が落ちてしまうことを恐れて中々力を出せない。
そんなルシアの様子を察したウィルは、また妖しく笑って小屋の壁にルシアを追いやる。
「あんまり暴れると布が落ちますよ」
「っ……───」
「いやぁ中々そそる顔をする…」
深緑の瞳で鋭く睨まれたウィルはそう笑うと、その合間に使いの者たちが小屋から急いで出て行くのを見て、ふん…と息を吐いた。
「何が目的ですかっ……」
「いつも冷静な弟が身を焦がしている相手がどんな方なのか、知りたくて」
あまりに気ままな様子にルシアは言葉が出ない。
ロイも最初攫ってこようとしたりと、大分強引で大胆だったが、ウィルも負けていない。
湯浴みの場所に突然現れて、突然迫ってくるだなんて非常識にもほどがある行動だ。
「それにしても近くで見ればみるほど…麗しい」
「やめてくださいっ…」
「吸い付くような白い肌に、まるでシルクのような金色の髪に、深緑の瞳…」
顎を掴まれてルシアは目を見開く。
「何より、『あのロイが欲しがっている』というのがそそるなぁ…」
「んっ……!!!!」
突然に唇を塞がれて、ルシアは思わず暴れると、ハラりと体を覆い隠していた布が床に落ちていった。