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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国



きゃーーー!というマヤたちの悲鳴を耳にして、リューイはハッと息を飲む。



何かあったか───



ばくばくと心臓が高鳴って、その先を見る。



───────────天然の湯浴み処は、ここからすぐ先になりますので、男性はこちらで……



今、ここから先、男性は入れない。


それにあのマヤたちのことだ、もしかしたら虫が出たくらいのことで騒いでいるのかもしれない。


だが、だが……


もしも姫に何かあったのなら──…



戸惑うリューイが足踏みをしていると、すぐに急いでマヤとアマンダ、そして案内してくれた使いの女の三人が向かってくるが見えた。




「リューイっ……!!」



血相変えて走ってくるマヤの姿を見て、リューイの鼓動がさらに激しくなる。





「何があった……! 姫は…っ」



「湯浴みから上がったところでっ…と、突然っ……ウィル王子が──…」




ウィルという名を聞いて、リューイが青ざめる。



───────────ウィルが現れても姫に近付けるな



あのロイですらも厄介そうに扱っていた兄──…




「お前たちはここにいろ」




ためらいなく背中の剣を引き抜いたリューイに、マヤは膝をつきながら心配そうに見上げる。




「リューイっ…。でも相手はこの国の第2王子───」



言いかけたところで、マヤは息を飲む。


リューイの額に浮かび上がった血管。


見たことがないほど、リューイが怒っているのが分かったのと共に、駆け出したリューイの背中をマヤとアマンダはじっと見つめていた。

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