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† 姫と剣 †
第7章 決意
観念したように、リューイは深く息を吐いてルシアをただただじっと見つめていた。
「同じミサンガまで付けているのも偶然ではないはず」
「っ………………」
「ねぇ、あなたが言っていた少女って私…なんでしょう……?」
戸惑いを見せるリューイは、少し間を置いてから「はい」と返事をした。
やっと認める発言を聞けて、はぁっとルシアは息を呑む。
でも、それでも何故か腑に落ちないのは、それをここまでリューイが隠していたことと、何一つルシアに記憶がないことだ。
「なぜ黙っていたの?」
「……特段、お伝えする必要も、意味もないかと…」
「嘘つき」
ハッと笑ったルシアは、ギュッと握り拳を握って床に視線を落とした。
黙っていたんじゃなくて、リューイは明らかに隠していた。
「このミサンガは……どこで?」
「……………あなたから、いただきました」
「私……が………」
同じ色の、緑と茶色で編まれたミサンガ。
それでも、それ以上のことを語ろうとしないリューイに、ルシアはしびれを切らす。
「私………何も覚えていない……」
「ルシア姫…─────」
「あなたを見ても……ミサンガを見ても、何も思い出せない。それどころか懐かしさすらも感じることが出来ない」
握っていた拳を開いて手を平を見つめると、爪が食い込んだ痕があった。
「薄情なのは私の方ね。何も話したくないのも納得だわ」
「それは違います…!」
はっきりとした物言い。
だけど、やはりリューイはそれ以上は語らない。