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† 姫と剣 †
第7章 決意
「これ以上は教えてくれないのね」
護衛の家系だったランドルト家が姿を消したこと。
護衛の騎士として舞い戻ったリューイ。
ないに等しい記憶。
それでも、街でリューイに出会った偶然には感謝すべきなのか、運命のいたずらだと嘆くべきなのか──…
この前、襲ってきたローハーグ内部の者と思われる連中の正体も掴めていない。
さらには、ローハーグの帰国の日が近付いている。
「じゃあ……別の話をしましょう」
未確定なことが何一つないまま、ルシアはまず、ある答えを出さなければならない。
「……ロイ王子は………思ったほど悪い人ではないのかもしれない」
話を変えたルシアから、リューイは目を逸らして窓を見つめた。
「そうですね」
そう答えながら、リューイは先ほどのウィルの騒動で、血相を変えて現れたロイを思い出していた。
あの焦りは演技ではなく本物だった。
「国を愛していて……民にも慕われている。それに、まぁ、ウィル王子は苦手だけれど…ご家族もいい人たちだわ」
試すような、そんな発言をしている自分に、ルシアは嫌気が刺した。
「……………同意です」
「リューイ。こっちを…ちゃんと私の目を見て」
肩を落としたリューイは、振り返るとゆっくりと顔を上げてルシアを見つめた。
「ロイ王子からの…お申し出を」
「…………」
「……受けようと思うわ」