この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第7章 決意
パチパチと瞬きをしているロイは、「あの…?」と首を傾げなら不思議そうにこちらを見つめているルシアを見て、徐々に状況を飲み込んでいく。
「ロイ王子…? だいじょ──」
「──よかった…っ…」
突然に抱き寄せられたルシアは、「きゃっ」と小さく声を上げる。
息をするのも苦しいほどの強い力。
そして…ロイの肩越しにリューイと目が合う。
ローハーグの丘の上。
リューイと過ごしたあの数日が思い出されて胸が苦しくなった。
それも今はただの思い出。
これでいい…
間違っていないはず。
そう言い聞かせて、ルシアはリューイから空に視線を移すとロイの大きな体を抱きしめ返した。
「はぁ…ここまで不安だったのは生まれて初めてですよ」
体を離したロイの満面の笑みに、ルシアも笑みを返す。
たしかに、ここまで、ロイが感情を露わにしているのは見たことがない。
目を細めたロイは、ルシアの頬を撫でながら、顔を近付ける。
あと少しで唇と唇が触れる距離。
「姫……」
そのタイミングで目を瞑ったロイは、ゆっくりとルシアの後頭部に手を添えた。
「キスをしてもいいですか…?」
「えっ…あっ──────」
答える暇もなく、塞がれた唇にルシアは目を見開く。
甘い声に、いちいちの仕草が優しい。
この人となら……きっと…幸せに────…
「すみません、我慢ができず、答えを聞く前にしてしまった…」
ゆっくりと唇を離したロイは、ルシアの顔をじっと見たあとまた「はぁ……」とため息を吐いて再びルシアをきつく抱きしめた。