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† 姫と剣 †
第7章 決意



パチパチと瞬きをしているロイは、「あの…?」と首を傾げなら不思議そうにこちらを見つめているルシアを見て、徐々に状況を飲み込んでいく。



「ロイ王子…? だいじょ──」


「──よかった…っ…」




突然に抱き寄せられたルシアは、「きゃっ」と小さく声を上げる。


息をするのも苦しいほどの強い力。


そして…ロイの肩越しにリューイと目が合う。



ローハーグの丘の上。


リューイと過ごしたあの数日が思い出されて胸が苦しくなった。


それも今はただの思い出。


これでいい…


間違っていないはず。


そう言い聞かせて、ルシアはリューイから空に視線を移すとロイの大きな体を抱きしめ返した。




「はぁ…ここまで不安だったのは生まれて初めてですよ」



体を離したロイの満面の笑みに、ルシアも笑みを返す。


たしかに、ここまで、ロイが感情を露わにしているのは見たことがない。


目を細めたロイは、ルシアの頬を撫でながら、顔を近付ける。



あと少しで唇と唇が触れる距離。




「姫……」




そのタイミングで目を瞑ったロイは、ゆっくりとルシアの後頭部に手を添えた。




「キスをしてもいいですか…?」



「えっ…あっ──────」




答える暇もなく、塞がれた唇にルシアは目を見開く。


甘い声に、いちいちの仕草が優しい。


この人となら……きっと…幸せに────…




「すみません、我慢ができず、答えを聞く前にしてしまった…」




ゆっくりと唇を離したロイは、ルシアの顔をじっと見たあとまた「はぁ……」とため息を吐いて再びルシアをきつく抱きしめた。


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