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† 姫と剣 †
第7章 決意
「とにかく……よかった…」
ははと自嘲気味にロイが笑う。
まだ気持ちがふわふわと浮ついているのは、ロイ自身も分かっていた。
これが、『嬉しい』という感情で、満たされる感情だというのなら、今まで感じていたものは嘘だったのかもしれないとさえ思う。
「こんな風になるのはあなたの前だけですよ」
「んと…それはいい意味ですか…?」
「いい意味でも悪い意味でも、です」
「う〜ん…」と唸ったルシアは、再びロイに見つめられて、言葉が詰まった。
「姫、愛しています」
思わず顔が熱くなるのを感じながら、ルシアは俯く。
「照れていらっしゃるんですか?」
「い、いや、あの…」
あまりに直球な言葉ばかりに戸惑ってしまう。
そんなルシアの様子すらも、ロイにはいじらしく見えてしまう。
「戻りましょう」
返事をしたルシアの手を引いて、ロイは来た道を戻る。
そして、ロイはリューイの傍を過ぎる際に、一瞥をくれる。
「…………悪く……思うな」
「─────」
ルシアには聞こえない小さな声で、ささやかれた一言に、リューイは表情一つ動かさなかった。