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† 姫と剣 †
第7章 決意
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夜。
ルシアは部屋の中で、ロイにもらった指輪を眺めていた。
ドッドッドッと、いう音を立てて心臓が鳴っている。
それもそのはず。
あの丘の上の出来事の後。
───────────── 今夜お部屋に伺ってもよろしいですか?
帰り際、切なく耳元で囁かれたロイのお誘い。
断る理由もなく、了承してしまったが、考えれば考えるほど緊張で体が強張ってしまう。
ローハーグの時とは状況が違う。
今、ロイとは婚約関係にあり、さらには、ルシアは明日一旦ローハーグに帰国する。
しばらく会えない、というこの状況。
何が起きても……おかしくない。
感じたことのない緊張に、何度も深く息を吐くが、そんなルシアをよそにマヤとアマンダが背後でキャッキャと騒いでいる。
「何度思い出しても本当に素敵っ……」
「本当っ……姫様がOKされた時のあのロイ王子の屈託のない笑顔といったらもうっ…!」
日中の、ロイとルシアのやりとりを何度も口にしては、2人で悶えている。
「そろそろかしら……!」
ウハウハなマヤはもう幾度となくといたルシアの髪にさらに櫛を通す。
「もう大丈夫よ」
呆れたルシアの指摘に、うふふふとマヤが笑う。
「そうですね! いくらといても、このあと乱れてしまうかもしれませんし」
「やだっ…ちょっとマヤさん!」
騒ぎ立てる2人に、ルシアは深くため息を漏らしながら再びエメラルドの指輪をじっと見つめていた。