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† 姫と剣 †
第7章 決意
部屋の外、扉の前に腰を下ろしていたリューイは中からキャッキャと楽しそうな声を聞いていた。
そして、廊下奥からの足音に敏感に反応して立ち上がる。
遠くから、いつも通りゆったりした服装で現れたロイを確認して、リューイは一旦はウィルでないことに安堵した。
「………姫に用か」
「あぁ、今夜この部屋で会う約束をしている」
その言葉に、リューイは色々と察して微かに目を見開いた。
リューイのその小さな反応に気付いたロイは、扉をノックしようとしたところで、立ち止まってリューイに向き直る。
「今夜…ここで見張りをする必要はないぞ」
「…………………」
「俺がずっと側にいる。それにここにいたら、部屋の中の声が聞こえてくる」
表情ひとつ変えず、ロイはリューイをじっと見つめる。
「お前にとってそれは……あまりにも酷だろう」
信念を貫こうとするリューイにロイは現実を突きつける。
ルシアが誰と結婚しようが、側に居続ける、というのはこういうこと、なのだ。
黙ったままのリューイだが、その眼差しは鋭い。
冷静に見せて、やはりその瞳は闘志を燃やした者のそれ、だ。
「不要な気遣いだったか」
痺れを切らして、ロイは扉に視線を移し、ノックをした。
はい、と返事をしてルシアが顔を出す。
「こんばんは、姫」
すかさず頬にキスを落としたロイに、ルシアの体がビクりと震える。
運ばれたワイン。
そして、マヤとアマンダも、部屋から出て行く。
「おやすみなさいませ」
ルシアとリューイの目が合ったのも束の間、パタンと音を立てて扉が閉まった。