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† 姫と剣 †
第7章 決意
リューイは閉まった扉をしばらくじっと見つめていた。
その様子に気が付いて、ハッとしたマヤとアマンダは、顔を見合わせてそっとリューイに近付いた。
「あの……リューイ? 多分、今日……護衛は──」
「───何が起こるか分からない」
「で、でも……」
今夜、ルシアのそばにはロイがいる。
言い辛いと思いながら言い淀んでいると、リューイが突然フッと鼻で笑ったので、マヤは眉を上げた。
「今日のあいつが、姫を守れるとは思えない」
「え……?」
「今あいつの頭の中はルシア姫のことでいっぱいだろう」
たしかに、と思いながら、マヤとアマンダは再び顔を見合わせる。
「そういう奴が1番隙がある」
リューイの言う通りかもしれない。
だけれども……
「でも……ここにいてあなたは辛くない…の…?」
先ほどまで、ルシアとロイの結婚を祝福していたマヤだが、やはりリューイと対峙していると複雑な気持ちで溢れる。
もちろん、実るわけのない恋だと分かってはいるのだが。
「辛い、辛くないは関係ないだろう」
「…………そう」
これ以上言うのをやめたマヤは、アマンダを連れてそのままその場をあとにした。
2人がその場から去ったあと、リューイはふぅ……と息を吐いて、ルシアの部屋の扉とは反対側の壁に寄りかかると、そのまま床に腰を下ろした。