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† 姫と剣 †
第7章 決意
顔を上げたロイは、返答に困っているルシアをじっと見つめた。
「姫………」
「は、い……」
「あちらに行きましょう」
ルシアは、ロイの視線を辿って奥のベッドを見る。
「っ…………」
それはつまりはそういうことなのだが…
立ち上がったロイに引っ張られるようにして、ルシアも後に続く。
そして、ベッドに腰掛けたロイは、そのままルシアを隣座るように促した。
目には見えない境界線。
ここを越えれば─────…
動きを止めたルシアの様子に、ロイは優しく微笑んだ。
「まだ……迷っていますか」
見透かされた発言に、ルシアは「んん」と唸る。
覚悟は決めた、はずだった。
ロイを弄ぶ気ももちろんない。
「大丈夫です。あなたが良いと思える日まで待ちますよ」
「王子……─────」
「むしろ私の方が、舞い上がって急ぎすぎていますね」
あまりに優しく笑うロイに、ルシアは釘付けになった。
ローハーグで会った時とは人が変わったように、穏やかで優しくなったように感じる。
何がそうさせたのか、
もちろんそれはルシア自身の存在によるものなのだが、その事に本人は気が付かない。
意を決したルシアは、そのままロイの横に座って顔を見上げる。
「姫……?」
「…………少し…緊張していて……っ」
応えなければ…
そうしないと申し訳ない気がして…