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† 姫と剣 †
第1章 お忍び


「風邪引くぞ」


「だ、いじょうぶ…!」


「火のそばに寄った方がいい」



リューイの言われるがまま、ルシアは暖炉に近付く。



「その羽織っている布も……脱いだ方がいい」



え……?とルシアが首を傾げると、リューイはヤカンを暖炉にかけた。



「雨で濡れただろ。そのままだと冷えるぞ」


「あぁ……そう…ね」



街ではなるべく姿が見えないように体を覆っていた布。


だけど、リューイなら別にいいかも知れない。


そう思いながら、ルシアは羽織っていた布を脱いだ。


左右が編み込まれた金色の髪が全貌を見せて、腰まで伸びる。


そして、ルシアが腰に携えている剣をリューイはチラとみた。


白に近いグレーベースの服。


スカートかと思いきや、ズボン。


その整った女性らしい顔立ちとは裏腹、想像とは違ったまるで騎士のような出立ちに、リューイは、片眉を上げた。



「女のくせに、帯剣しているのか」


「……自分の身を守るため、ね」



その返事に、リューイは深く聞くことはせず、部屋の奥へ行く。



「どこに…行くの……?」


「着替える」



突然上着を脱いで上裸になったリューイに、ルシアは目を見開いて思わず俯いた。



チラと目に入った逞しい身体に、ドキドキと胸が高鳴る。


ルシアは暖炉の前に座って膝を抱えながら、そっと胸の高鳴りを抑えていた。


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