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† 姫と剣 †
第7章 決意
もう夜も深まった。
「俺は………姫を愛している」
とつとつと語り始めたロイの言葉を、リューイは床を見つめながら聞く。
「本気で一生大切にする覚悟もある」
「だから」とロイの言葉が続く。
「もう……お前の護衛はいらない」
「…………何を勝手なことを───」
「──── 頼むっ…」
突然頭を下げるロイに、リューイの身が固まった。
「お前の代わりに、護衛を2人…いや、3人付けよう」
「…………………」
「姫のことを想うなら、側から離れてくれ」
鈍器で頭を殴られたかのような、そんな強烈な衝撃がリューイに響く。
───────────── あのね、リューイ。私やっぱり、あなたが好き
手を差し出すどころか、差し出された手を掴むことすらできない。
長い間、ルシアを守ることだけを目標に鍛錬を積んで、護衛の騎士となった。
ロイの言う通り、想うのなら、離れた方が良いのか……
それでも、側で、守り続けたいと思うのはもはやエゴなのか。
自問自答するリューイは自分の手のひらを見つめた。
「何故そこまで姫にこだわる。これ以上そばにいるのはお前も辛いはずだ」
「…………こだわっているわけではない。姫を守るのは…」
『約束』なのだ。
言い淀みながら、リューイはまた身を固める。
もはや、その約束を覚えているのは自分だけ。
その約束を守ろうとすること自体も、自分のわがままでしかないのかもしれない。