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† 姫と剣 †
第8章 刺客
リューイとロイの背後から、ひょこっと顔を出したルシアは、少し警戒しながらイーサとウィルに頭を下げる。
「あの……わざわざありがとうございます」
ロイと結婚するのなら、この2人は義理の兄ということになる。
正直、ウィルは苦手だしあまり関わりたくないが、そうも言っていられない。
少し無理に笑みを作ったルシアが頭を下げるが、やはりロイがウィルを警戒してルシアを背後に匿った。
「何を兄弟同士で張り詰めておる」
少ししゃがれた、威厳のある声が響く。
3人の間に入ったアノア王は、エマとリタを連れて、その輪に加わる。
居直ったロイは、剣を納めてはぁ、と息を吐いた。
「どうせまたお前が掻き乱したのであろう」
「いって」
握った拳が、ウィルの頭を落とされる。
顔を顰めたウィルは、少し涙目になりながら、口を尖らせた。
「ルシア姫を見送りに来ただけだって。ロイが大袈裟なんです!」
「大袈裟? どこがですか!」
「ロイ、フィアンセの前でそう取り乱すな」
王に諌められたロイは、うっと言葉を飲んでチラと背後に匿うルシアを見る。
完全に困った表情を見せている。
誤魔化すように髪をかき上げたロイは、咳払いをした。
「そこをどいてください」と言い掛けたその時、ドタドタと王の元から妹たちがリューイとロイの合間をくぐり抜けルシアの元へと駆け寄った。