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† 姫と剣 †
第8章 刺客
「ルシアさまぁ…!」
「2人とも無事?」
汗を拭ったルシアは、よそ行きのドレスのフリルを取り払う。
こっちの方が楽だ。
まるで騎士のような出で立ちに変わったルシアは、2人に肩を抱いた。
「ごめんなさい…! ルシア様をお守りしなければならない立場でありながら、逆に守ってもらうなどっ…」
「何を言っているの!」
塞ぎ込むアマンダの背中を叩く。
「私の方が強いんだから当たり前でしょ! 2人は馬車の中に隠れて!」
「はい」と返事をした2人は、ルシアの背後に迫りくる敵に目を見開く。
「ルシア様! 後ろ!!」
「っ…! 隠れて!」
ヒュッと地面を蹴ったルシアは、振り向き様に回転して敵を斬る。
着地したルシアは、戦況を把握すべく辺りを見回して違和感を感じ取った。
敵の目当てはおそらくルシアだと、リューイはそう言っていた。
だが、その割にはここまでこない。
むしろ───…
「くっ…」
複数人の攻撃に顔を歪ませるリューイの姿に、ルシアはハッと息を飲む。
今この戦場で、狙われているのは、明らかにリューイ…だ。
「リューイっ…!!!」
声を上げたルシアは、周りを見回して、乗り手のいない馬を捕まえ、騎馬しリューイの元に向かった。