この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第8章 刺客
ルシアの叫び声に、リューイはクッと声を漏らす。
背後のルシアが気になって、戦いに集中ができない上に、複数人の敵に畳み掛けられて、今の状況が分からない。
味方は何人残っているのか。
敵はあと何人か。
「姫はあとだ! まずはこの騎士を倒すぞ!」
振りかざされた剣をリューイは跳ね返す。
やはり、アノア兵のフリをしているがその言葉の訛りからローハーグの者であることが分かる。
内部からの刺客。
一体 ─────
「危ない!」
前方からの攻撃に応えるのに精一杯で、背後からの攻撃を防げない。
焦りを見せるリューイを守るべく、ルシアが飛びついて、敵を倒すと、周りの敵が一旦引いた。
「ふぅ…間に合った……」
息をつくルシアの姿に、リューイは目を見開く。
「姫っ…! 馬車に戻ってください!」
「いいから、一緒に戦わせて!」
「しかし…!」
汗を掻くリューイの顔をルシアはゆるく微笑みながら見つめる。
「大丈夫」
「………」
「私を…信じて────」
深緑の瞳が鋭く光る。
間が空いたあと、観念したリューイは、コクリと頷いた。
「じゃあ行くよ」
騎馬したまま、背後を合わせてリューイとルシアは、剣を構える。
「しぶといやつめ…!」
敵将と思われる男は、そう言うとギリと奥歯を噛む。
そして、周りの仲間たちと目を合わせる。
「後回しだった姫もおでましのようだ」
「───────」
「どうせどちらも殺せという司令だ。二度もヘマは許されない!! 一斉にかかれ!」
おー!と声を上げた男どもを前に、ルシアとリューイは剣を掲げた。