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† 姫と剣 †
第8章 刺客



ルシアの叫び声に、リューイはクッと声を漏らす。


背後のルシアが気になって、戦いに集中ができない上に、複数人の敵に畳み掛けられて、今の状況が分からない。


味方は何人残っているのか。


敵はあと何人か。





「姫はあとだ! まずはこの騎士を倒すぞ!」



振りかざされた剣をリューイは跳ね返す。


やはり、アノア兵のフリをしているがその言葉の訛りからローハーグの者であることが分かる。


内部からの刺客。


一体 ─────




「危ない!」



前方からの攻撃に応えるのに精一杯で、背後からの攻撃を防げない。


焦りを見せるリューイを守るべく、ルシアが飛びついて、敵を倒すと、周りの敵が一旦引いた。




「ふぅ…間に合った……」



息をつくルシアの姿に、リューイは目を見開く。



「姫っ…! 馬車に戻ってください!」


「いいから、一緒に戦わせて!」


「しかし…!」



汗を掻くリューイの顔をルシアはゆるく微笑みながら見つめる。




「大丈夫」


「………」


「私を…信じて────」



深緑の瞳が鋭く光る。


間が空いたあと、観念したリューイは、コクリと頷いた。



「じゃあ行くよ」



騎馬したまま、背後を合わせてリューイとルシアは、剣を構える。




「しぶといやつめ…!」



敵将と思われる男は、そう言うとギリと奥歯を噛む。


そして、周りの仲間たちと目を合わせる。



「後回しだった姫もおでましのようだ」


「───────」


「どうせどちらも殺せという司令だ。二度もヘマは許されない!! 一斉にかかれ!」



おー!と声を上げた男どもを前に、ルシアとリューイは剣を掲げた。

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