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† 姫と剣 †
第8章 刺客
敵の口ぶりからしてやはり、先日の敵と同じ敵なのだろう。
ルシアもリューイも同じことを思いながら、勢いよくかかってくる敵を軽やかにかわして斬って行く。
互いの死角をかばいながら、息を合わせて敵を切りつける。
「っ……くそっ…!!」
息ぴったりの2人に敵将は苛立つ。
なかなか倒せないどころか、次々と倒れて行く仲間の姿にチッと舌を打った。
そして、そのタイミングで弓を引くと、まずはより腕の立つリューイに矢を向ける。
「リューイっ…! 矢が!」
「っ…!」
以前、リューイが怪我をした時も飛んで来た毒矢が原因だった。
フラッシュバックするその時の光景にルシアに冷や汗が流れる。
だが、リューイも同じ手に乗るような人物ではない。
瞬時に身をかわすと、襲いかかってきた近くの敵を逆に寄せ付けて飛んできた矢の盾にし、馬の上から華麗に飛び降りる。
宙を舞うリューイを目で追いながら、ルシアはフッと笑うと同じく敵の虚を突いて、馬上を舞いながら導線の敵を斬りつける。
そして、2人が地面に着地するのと同時に、囲っていた敵が馬上から地面へバタバタと倒れていった。
「っ…おのれ!」
「誰の指示だ」
剣を敵将に向けたリューイが凄む。
だが、敵も弓矢をしまい、再び剣を抜いている。
「言うわけがないだろう」
「そうか。なら言いたくさせてやるまでだ」
「馬に乗っている俺と地上からやりあうつもりか?」
ニヤリと笑う敵にリューイは表情を変えない。